NICOのブログ(仮)

NICO(@fabrics225)がなんかいろいろ書くブログです。正式なタイトルはそのうち決めます。

ラジカセは赤だった

ごくたまに、会社の人間などから趣味を訊かれることがある。

 

僕は以前からこの手の質問に弱い。

昔から好きなことがないわけではないのだが、性格上なんとなく恥ずかしくて答えづらいのだ。

 

だから毎回、本当に直近観た映画とか買い物に行ったとかの事実とちょっとばかりの嘘を織り交ぜながらお茶を濁す

もちろんこれらも好きは好きなのだが、なにせ毎回話せるほど行ってるわけではないので、実際のところその手のエピソードに乏しい。人に堂々と話せるような趣味を持てばいいのかもしれないが、それだと人にどう思われたいかがメインになってしまって、結果取り繕うことばかりになってしまうので、自分自身がそれを続けられるとは到底思えない。

 

だから自分の本性というか、「これ言っても共感されないだろうな」みたいな部分を誰かに話すことがない。

 

ブログを始めた理由は前の記事にも書いたし、その最後の方で生意気にも匂わせた他のエピソードもあるのだが、実は他にも動機はある。

 

Twitterを始めて12〜13年ほどになるのだが、ここ数年の自分のツイートの多くは、大抵何かの番組を観た感想やその実況。

やってる時は間違いなく楽しいし、やめる理由も一切ないのだが、ふと後になって自分のツイートの並びを見返した時に、どうも機械じみてるというか、客観的に見て自分自身の人間性があまり見えて来ないような感じがした。

 

自分は自分の事を何者だと思っていて、何が好きで、何が嫌いで、どんな風に生きてきて、どんな感情を抱いて過ごしているのか。それを一度自分の中で整理してみたいと思った。

もっと言えば、普段の生活ではきっと言えないであろう部分を言語化してみたくなった。

そしてそれならばせっかくだし文章を長々書いてみようと、ついでにそれを自分にちょっとでも興味がある人に暇つぶし感覚で観てもらおうと思い立ったのである。(実際にはそこから行動に移すのに随分と時間がかかったけれど)

 

 

 

ラジオに触れたきっかけは中学生時代。

 

13歳の夏休み、とある家庭の事情で僕は妹と共に2週間ほど祖父母の家に預けられることになった。

遠く離れた場所に住んではいたが、いわゆるおばあちゃん子であった僕にとってはそれだけである意味プレゼントのように感じていたのを覚えている。

 

しかし、実際に祖父母の家で生活を始めるにあたり、ちょっとした問題が起こる。

 

することがない。

 

宿題はあるが、午前中にちゃんとやっておけば午後からは自由時間。とはいえおもちゃがあるわけでもなく、毎回イベントがあるわけでもない。祖父母はたくさん甘やかして気にかけてくれるが、ずっと会話するわけでもない。

ゲームは持ってきているが、孫をたくさん甘やかしてくれる祖父母の前とはいえ泊まっている身でさすがにそればかりやる訳にもいかない。

 

家の周りには歩いて数分のところにコンビニとスーパー、あとはちょっとした飲食店がある程度。

当然移動をすれば離れた場所の娯楽施設には行けるが、お小遣いもそんなになく土地勘もなければ移動手段も持ってない。

 

さらに祖父母が寝るのが早いので、夜にテレビを観ることもこの期間はほぼなかった。

 

という具合に何をしようにも出来ないなぁなどと思っていたある日、祖父が暇つぶしになればと思ったのか、私物の大きなラジカセを貸してくれた。

 

カセットテープの演歌コレクションを聴く気はさすがになかったので、その代わりにラジオを聴いてみることにした。

 

電源を入れ、ラジオのモードに切り替え、アンテナをちょっと伸ばし、クリアに聴こえるところまでチューニングを合わせてみる。

そうして初めて自分で操作して聴いたのは、地方局のお昼のワイド番組だった。

 

リスナー、と呼ばれている番組視聴者からお便りが届き、それを読んではトークを展開するタレント。

その合間に流れるいろんなアーティストの曲や、地方ならではのCMが妙に耳に残る。

違う曜日では野球中継。特にどの球団の誰のファンというわけでもなかったが、不思議なもので耳に入る試合展開にはちょっとワクワクするものがあった。

 

それまでの人生でラジオを聴いたこと自体全くないわけではなかったが、ここまでちゃんと触れたことはなかった。

知ってるようで知らない世界がそこにはあった。

 

そうして気がつけば、実家に戻るまでの期間、僕の暇つぶしのお供はラジカセから流れてくるラジオ番組になった。

 

 

 

 

と、ここまで書いておいて本来ならラジオにどハマりする人生をすんなり送るはずなのだが、実家にはラジカセはないので、そこからしばらくラジオを聴かない生活に戻る。

 

そしてそこから何年か経ってまたラジオを聴くようになるのだが、長くなってしまったので続きはまた今度。前置き長かったなぁ。